電王戦の結果について-クリップ課題2

◇記事リンク
谷川会長「ほっとしている」 電王戦、棋士初の勝ち越し :日本経済新聞

◇記事要約
 プロ棋士5人とコンピューター将棋ソフト5種が戦う団体戦「将棋電王戦FINAL」の最終局が11日、東京・渋谷の将棋会館で指され、阿久津主税八段がソフト「AWAKE」を破った。対戦成績は3勝2敗となり、プロ棋士側が勝ち越しを決めた。プロ棋士が勝ち越すのはこれが最初で最後。
 決め手になったのは、プロとしてのプライドを捨て、ソフトの弱点を突くという阿久津八段の勝負に徹する姿勢だった。
◇疑問
 練習対局において、阿久津八段はどのくらいの勝率を上げていたのか?
 ソフトが強くなってしまったら、プロ棋士の存在意義がなくなってしまうのではないか?
 将棋はいつか完全に解析されて結論が出てしまうのではないか?
◇考え・主張
 今回の最終局は、2勝2敗という展開の中で行われた。また団体戦としての電王戦は今回で最後でもあり、極めて重要な対局であった。
 しかしこの対局の結果には賛否両論の声が上がっているようだ。阿久津八段は21手、わずか49分でソフト側を投了まで追い込んだ。これは異例なことで、通常は100手前後、時間にすれば10時間ほどはかかるものなのだ。
 問題は、阿久津八段が普通プロ相手には指さないいわゆる「ハメ手」でAWAKEをハメたこと。少し専門的な話になるが、AWAKEが角を死なせる順に飛び込んでしまったのだ。こうなっては勝ち目がないとAWAKE開発者の巨瀬氏が投了を告げ、人間側の勝ち越しが決まった。
 AWAKEがその手にハマりやすいことを事前研究によって知っていた阿久津八段。しかしそのような手を指すことは、ファンや観戦者にとって嬉しいことではなく、なによりプロとしてのプライドが許さないことであろう。そんな中でも心を鬼にして勝ちにこだわった阿久津八段に、私は拍手を送りたい。
 しかしながら、プロ棋士の中でもトップクラスの実力を誇る阿久津八段がそのような手を指すことは、裏を返せばコンピューターの強さを認めたということでもある。

 今回の電王戦は、将棋の対局を通して人間とコンピューターの強み・弱みを露呈する形となった。今一度コンピューターとの付き合い方を考えてみてはいかがだろうか。